2021短歌

昨年読んだ短歌をまとめます。

 

うっすらとおいりのような触感に重なりたての雪踏み歩く

 

日々の飯 暮らしの写真 見て見ては赤のあなたを知った気でいる

 

日々白いから新しい積雪に気付けないまま鈍く寝ている

 

本屋さん、お財布がなく焦るも、あ、スマホで払える。変な現代。

 

ネイルから2週間経ち伸びた爪

生きてる証拠すくすく育て

 

会いたいを積もらせたあと雪だるま作って送る 溶かさず抱いて

 

いつも吸う半分だけの七ミリを間違えて買う日曜零時

 

バナナ吊る S字フックにとりあえず仮置く合間に食べきっている

 

起き抜けにコーヒー豆を削るときあなたを想う 朝のルーティン

 

恋人になるのは多分無理だけどたまーに来れば?それならいいよ

 

上の人低気圧だといっそうに強い気持ちと足音響く

 

大丈夫かしらってくらいこわばっている足音で察する気配

 

とりあえず明日になるまで寝たあとで考えよーね甘やかそーね

 

私たち終わりみたいね笑い合い言えるうちならまだ終わりじゃない

 

ふと鼻を掠める夏の異国にてかいだ覚えのドブの懐かし

 

雪が降るとSiriが言ったから持った

乗った地下鉄誰も傘なし

 

ニュートラな気持ちになろう 落ち着いて シフトレバーを握る手に、汗

 

「あとぐされないよ」有言実行はしない 腐って壊死するあたし

 

夏が来て暑くて泣いている 深夜コンビニスイカバーしないとね

 

世界との接続どこか合わない日

ボタン押しても気づかれない日

 

扇風機前での「あー」と遠くからそれを見る「あー」震えの違い

 

熱中症予防にこれを舐めてるの」手のひらにあるお塩キャラメル

 

持ち主に忘れ去られた自転車に蔓延る蔦にそうっと触れる

 

夏雲を見て目を細む幼な子よ

君が希望だそのままでいて

 

コンドーム然と並んだ線香の色とりどりを手にして気づく

 

スタンプを送ると「君に似てるね」とどのスタンプでも返ってきます

 

肺に満つ目覚ます冷えた秋の朝 ひとりの冬のやうやう来なむ

 

ほろほろと煮崩れ角煮つかむ箸遣いに見惚れ吐く息の距離

 

赤よりも紫みたいなわたしの血流れ出るとき赤になるとき

 

もう使う相手がいない余りゴムお裾分けにはお粗末かしら

 

今はもう他人になったひとのこと

夢を見るたび思い出す朝

 

思い出すことはやめますこれからは

あなたの未来思い馳せます

 

重いかつ隙がないこの文章を断ち切る斧が欲しい各々

 

改めて君が好きだし今ここで宣言しとくもうやめるよと

 

タイマーをかける止めるを繰り返し私と時間が同体になる

 

南空 夏締め花火あがれども教えたい人居ぬまに秋季

 

早朝の自転車出勤雪虫が顔に当たりぬマスク入りぬ

 

たぶんきみ思い出したりせんのやろ一緒に食べたグラタンだとか

 

祝福を もっと悲しくなるんだと思ってたけど素直な気持ち

 

肯定に飢えてる君と飢えてる君に飢えてるあたしの話

 

低気圧「撫でて」一言言う君はまるで手負いの厳かな虎

 

生きてたくないこの気持ち抱きしめて生きていたいの明日明後日

 

まとめきれなかったので11月ごろまでですが。

今年もよろしくお願いします。