2022-01-01から1年間の記事一覧

冬の始まり

朝、海沿いの道を運転していた。いつもは茶色く濁っているはずの海水はうすあお色をしており、心地よく晴れた日だった。晴れといっても太陽がギラついているわけではなく、あくまでもどこまでも穏やかに水平線が続いていた。空と海の境だけが濃くはっきりと…

地獄で見たもの

濡れ光る背中。躍動するたびに粒が散った。くらくらするほど照明が眩しい。 「綺麗……」 汗を美しいと思ったのは初めてだった。むき出しの皮膚の下で筋肉の動きがよくわかる。男の人の裸の背中が同時にたくさん並んでいるのを、こんなに踊って動くのを見るの…

秋のひ

帰り道。背の丈ほどのコスモスたちが鮮やかに咲いている。首が長く、大きな花弁が風に吹かれている。野原はすっかり秋の装いをし始めており、夜の空気もすっかり秋の匂いだなぁなんて昨夜話していたところだった。 今の気温は30℃。今日はすっかり夏返りして…

2021短歌

昨年読んだ短歌をまとめます。 うっすらとおいりのような触感に重なりたての雪踏み歩く 日々の飯 暮らしの写真 見て見ては赤のあなたを知った気でいる 日々白いから新しい積雪に気付けないまま鈍く寝ている 本屋さん、お財布がなく焦るも、あ、スマホで払え…